母と2人で

店で胸が詰まって泣いてしまった。
人の家庭を覗くのは難しいけれど、長年店をやり人を見ていれば垣間見えるものもある。
子供4人に碌に食べさせず酒を客と呑む親。
育ち盛りの子達は文句も言わずあてがわれた分を食べ、おとなしく酒を呑み終わるのを待っている。
梨を剥いて2皿、子供に2切れずつ出したら、一番下の子が食べきれなかった分を年長の子が手に持って帰ろうとしていた。
もう2個梨を持たせると親に「この分は今食べていい?」と。
それを眺めていて帰るなり泣きはじめる母。
上の子2人は最初、ジュースもいらないと言っていたそうな。
今度来たら、掃除かなにか手伝ってもらってご飯食べてもらおうと母と話す。
この子達は多分、大人になってもしっかりやってゆけるだろうとは思う。
思うけれど、今のその境遇が当たり前なのだと思わせるのも酷なような。
一種のネグレクトのようなものだよな。
人は確かに平等ではない。
ないけれど、少なくともうちで見かける子供のなかにこういう子達がいたことはない。